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About the Institute
(講師紹介)
戸田奈津子さん:東京都出身。津田塾大学英文科卒業。映画字幕翻訳家。188bet体育_188bet体育在线@客員教授?神田外語学院アカデミックアドバイザー。
主な字幕作品:「E.T.」「インディ?ジョーンズ」「バック?トゥ?ザ?フューチャー」「シンドラーのリスト」「フォレスト?ガンプ」「タイタニック」「アルマゲドン」「スター?ウォーズ」「シカゴ」「パイレーツ?オブ?カリビアン」「ラスト?サムライ」など
外国映画に日本語の字幕をつける映画字幕翻訳者。SFからラブストーリーまで、これまでに1500本を超える作品の翻訳を手がけてきた戸田さんは業界の第一人者です。2008年から神田外語学院のアカデミックアドバイザーを務める戸田さんの講演会に、分散登校中にも関わらず会場には約100名の学生が詰めかけました。
「自分の知らない世界にふれることが大好きだったの」。戸田さんがはじめて外国の映画を見たのは小学生の頃。その世界に衝撃を受けてからは映画館に入り浸る毎日だったそうです。中学生で初めて英語の教科書を手にし、字幕の翻訳をやりたいと願い続けた戸田さん。しかし当時字幕翻訳の世界に通ずる扉はなく、電話帳で字幕翻訳家の住所を調べては「仕事を紹介してほしい」と手紙を送り続けたそうです。地道な活動が実を結び、30歳すぎたころに念願の映画会社で働くことが決まりました。しかし喜びも束の間、字幕翻訳はさせてもらえず、はじめに任されたのは事務業務ばかり。そこへ全く経験のない「通訳」という仕事が舞い込みます。失敗を繰り返しながらも目の前の仕事にひたすら取り組み、1979年「地獄の黙示録」で巨匠フランシス?フォード?コッポラ監督にその仕事ぶりが認められ、初めて本格的な字幕翻訳に携わることができたのは40歳を過ぎた頃だったとのことです。
1週間に1本のペースで映画の字幕翻訳を休むことなく40年以上続けてきた戸田さん。「肉体的にはもちろん大変だったけれど、ずっと願ってきたことが叶ったのだから全く苦ではなかった。映画を通してさまざまな世界にふれることが本当に楽しかった」と当時のことを振り返り、こんなに面白い世界は他にないと笑顔で語ってくださいました。留学も叶わず英語を話せる先生さえ日本には少なかった当時、戸田さんを突き動かしてきたのは「映画が好き」という純粋な想いでした。「せっかく一度きりの人生なのだから、自分のやりたいことに素直に。自分の道は自分で選んでほしい。人の意見を参考にするのはいいけど左右されてはだめ。今生きている時代の中でどのように自分の好きなことを貫くのか。今一度真剣に考えてみてくださいね」と戸田さんから未来ある学生たちへエールが贈られました。
講演会の後半では戸田さんが手がけた作品の字幕翻訳に学生が挑戦。戸田さんに自分の翻訳を聞いてもらえるまたとない機会に、積極的に学生たちの手があがります。限られた字数の中で正確かつ臨場感ある表現が求められる映画字幕翻訳。さらには映画の時代背景や登場人物のキャラクターを理解しておくことも不可欠です。
苦戦する学生たちに、戸田さんからは「日本語を改めて勉強することの大切さ」についてのお話が。「英語にしかない表現があるように、日本語には日本語にしかない美しさがあります。英語ならではの表現をどのような日本語にして、限られた字数でどう伝えるか。字幕翻訳家の腕の見せどころです」。字幕翻訳において、英語力が求められるのは大前提。そのうえで豊かな日本語の表現からその映画のワンシーンにあった言葉を探すのが字幕翻訳家のミッションです。学生たちは今回のワークショップで「正解がない字幕翻訳の奥深さと難しさ」を体感したようでした。
惜しまれつつも、終了の時間を迎えた今回の講演会。講演会の最後には、学生から感謝の気持ちをこめて戸田さんへ花束が贈られました。
「好きなものを仕事にすることは一筋縄ではいかない」と悩む人も多い中、「好きなものを仕事にしたいと思うのは当然でしょう」と言い切る戸田さん。「人生において最も大切なことの一つは『自分が本当に好きなものは何か』を自身に問い詰めること。そこにあなたの長所があり、あなたが成長する核がある。どんなに小さなことでもいい。それがあなたという芽を伸ばす種となるはずです。もちろんすべてがうまくいくわけではないけれど、努力という水をやれば必ずそれは花開きます。待つだけではなく自分から夢を掴みにいってくださいね」という言葉で講演会は締めくくられました。夢を実現させるための大きな原動力となる「好き」というまっすぐな想い。自分が好きなものにとことん情熱を注いだ結果、学生たちにどんな未来が待っているのか。彼らの目の前に広がる無限大の可能性に胸が膨らみます。
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