社員のビジネス英語力のレベルアップがうまくいかないと悩む人事担当者は多いのではないでしょうか。ビジネス英語力を向上させるには、まずは社員一人ひとりの英語力を把握し、そのレベルに応じた学習をしてもらうことが大切です。そこで今回は、多くの企業で社員の英語力の指標にしているTOEIC?のスコアを目安にレベル別の習熟度と課題を確認し、レベルアップのコツと学習プログラムの例をご紹介します。
社員のビジネス英語力のレベルはどのくらい?‐TOEIC?のスコアによる評価
英語力を測る指標にはCEFR(セファール:ヨーロッパ言語共通参照枠。ヨーロッパで広く知られている外国語の運用能力を測る国際標準)や実用英語技能検定などさまざまなものがありますが、社員のビジネス英語力の評価基準をTOEIC?のスコアに置いている企業が多いのではないでしょうか。そこでTOEIC?Listening & Readingテスト(以下 TOEIC? L&R テスト )のスコアを参考に、レベル別の業務対応能力と課題、次のレベルアップの目標を確認していきます。
ただし、TOEIC? L&R テストのスコアが高くても、実際のビジネスシーンで外国籍の上司や同僚、取引先とスムーズに意思疎通ができない、外国人顧客との交渉ができないといったケースもあるようです。ビジネスのグローバル化が進む現代においては、ペーパーテストでの高いスコアよりも、実際のビジネスシーンで使える実践力こそが求められます。スコアはあくまで英語力を把握するひとつの目安にすぎないことを理解したうえで、活用することをお勧めします。
では、レベル別の習熟度と課題、レベルアップの目標を見ていきましょう。参考までにTOEIC?スコアに相当するCEFRのレベルも併記します。ご参照ください。
TOEIC?スコア450点未満(CEFR A2程度)
相手がゆっくり話してくれれば、身振り手振りを交えながら何とか会話は可能ですが、基礎力が不足しています。ビジネスで使う英語のレベルにはまだ遠く、実際に英語を使って業務を遂行することは困難です。
このレベルでは語彙や発音、読解などを習得し直し、英語の基礎を固めることが求められます。まずは語彙を増やすと同時に、英文の基本的なルールを復習する、文書の読解力を身に付ける、正しい英文法を用いてシンプルな英文を書き、話せるようにするといったことが目標になります。
TOEIC?スコア450点以上~600点未満(CEFR A2~B1程度)
基礎力がつき、ある程度の会話やコミュニケーションが可能なレベルです。また、パターン化した業務などのごく限定的な場面では英語を使用した業務遂行も期待できます。しかし、ビジネス英語力としてはまだまだ不十分で、「業務を円滑に遂行できるレベル」には至っていません。
このレベルでは一般的な英語基礎力は備わっていることを前提に、ビジネス英語の基本的な運用力を強化することが求められます。ビジネス英語の基本語彙に加え、業種や職種に特化した語彙や業務上必要度の高い表現を優先的に身に付け、実際のビジネスシーンで想定されるシチュエーションごとに、それらを用いたコミュニケーションのスキルを習得しましょう。
TOEIC?スコア600点以上~730点未満(CEFR B1程度)
細部や詳細は理解できず、明確な意見の表明がうまくできないものの限定的な範囲で、外国籍の人々と何とか業務を遂行できるレベルです。ルーティンワークでは大きな問題がなくても、状況が複雑となった場合やイレギュラーな対応を求められるシーンでは、的確に自分の意思を示せないケースが多く見られます。
次の目標はビジネス英語の実践運用力強化です。具体的なビジネスシーンを想定した実践演習を重ねることで、業務ですぐに活かせるビジネス英語力を身に付けていきます。また、異文化のバックグラウンドを配慮して自らの意思を外国籍の人々に分かりやすく伝えるスキルの習得も目指します。
なお、一般的に履歴書に書けるスコアは「600点」から、ビジネス英語力があると言われるのは「700点」からとされています。
TOEIC?スコア730点以上(CEFR B2以上)
通常の会話はほぼ理解でき、業務を遂行する上で大きな支障はないレベルです。ただし細部やニュアンスの理解、詳細な説明や根拠に基づく明確な意見の発信について課題がある場合があります。
次のステップとしては、グローバル環境で一層活躍できるよう、おのおのの立場や担当にふさわしいビジネス英語コミュニケーション力の強化が期待されます。具体的には、「プレゼンテーションやネゴシエーションなど、ビジネスにおける重要かつ困難な局面でも十分対応できるだけのグローバルコミュニケーション力」や「多様なバックグラウンドや利害が異なる多国籍の人々と、円滑に業務を遂行できるようになるための異文化への適応力」などを高めることを目指します。
ビジネス英語のレベルを効率良くアップさせるためのポイント
社員の現在のビジネス英語力を把握したあと、どうすればレベルアップすることができるのでしょうか。それには現在のレベルにかかわらず、学習計画を立てるに当たって次のようなポイントを意識することが大切です。
- 学習の目標を明確にする
目標をはっきりさせないまま英語学習をしようとしても、何からどう手を付ければいいかわかりません。「半年後には、海外支社からの電話対応やメール対応をスムーズにできるようにする」「英語社内公用語化が予定されている1年後までに、英語力を業務に支障がないレベルにまで伸ばす」などと学習の目標を明確にする必要があります。 - レベルやニーズに合った教材を選ぶ
モチベーション維持のためにも、自分のレベルに合った教材を選ぶことが大切です。簡単すぎれば力になりませんし、難しすぎれば途中で挫折してしまう恐れがあります。また効率良く学ぶためには、実際に想定されるビジネスシーンで使用できる語彙や表現が学べる教材を選ぶこともお勧めです。 - アウトプットの機会を設ける
自己学習では、「テキストを読む」「音声を聞く」「映像を見る」など、どうしても知識のインプットにとどまりがちです。英文の日記を書いてみる、社内の外国籍の同僚に積極的に話しかけてみるなど、可能な範囲でアウトプットする機会を増やすようにしましょう。
ビジネス英語のレベルアップを効率的にできるプログラム例
ビジネスで使える英語力をレベルアップさせるためのポイントを踏まえれば、社員の自己学習でもある程度の効果は期待できるでしょう。ただし成果に大きな個人差が出るのは避けられませんし、実際にビジネスで使えるレベルに到達するにはかなりの時間を要します。
そこで検討したいのが、研修会社の提供する研修プログラムの利用です。神田外語キャリアカレッジでは、現在のレベルから学習目標を達成するために最適なカスタマイズプログラムで、着実に次の段階へステップアップできるコースプランをご用意。TOEIC?450以上が受講対象となる初級レベル対象のプランでは日本人バイリンガル講師とネイティブ講師が各々の良さを活かした指導を行います。
中級レベル以上では、日本人ビジネスパーソンのニーズを熟知したネイティブ講師が担当し、実務で使えるよう実践的に指導をいたします。実施形態は状況やご希望によりグループ、プライベート、対面、オンラインのいずれかからの選択になります。
なお450点未満の基礎レベルでは、グループレッスンでスムーズに学習するために必要な基礎知識を、自己学習によってある程度身に付けておくことをお勧めします。ご要望により、効果的な自己学習の進め方をアドバイスする「英語自己学習セミナー」も開催いたしております。
神田外語キャリアカレッジのビジネス英語コースプラン
前述のコースプランの概要をご紹介します。
- 総合ビジネス英語 初級レベル(対象レベル:TOEIC?450~550点程度 CEFR A2~B1程度)
英語運用力の基礎固めを目的としたコースです。文法?発音などの基本を押さえたうえで、英語の4技能を効果的に高めながら、ビジネスの場で基礎的なコミュニケーションができる力を身に付けます。<主な項目>インプット→アウトプットの転換/文法?発音を確認し発話する/状況別基本表現の習得:効果的な自己紹介?会社紹介/電話対応/数字の表現 など
- 総合ビジネス英語 中級レベル(対象レベル:TOEIC?550~700点程度 CEFR B1程度)
英語運用力の基礎固めを目的としたコースです。文法?発音などの基本を押さえたうえで、英語の4技能を効果的に高めながら、ビジネスの場で基礎的なコミュニケーションができる力を身に付けます。<主な項目> - 英語での会議の進行を理解する/理由?根拠に基づいて意見を述べる/同意?反対?確認する/司会をする/必須語彙?関連表現 など
- 総合ビジネス英語 中上級レベル(対象レベル:TOEIC?730点以上 CEFR B2以上)
グローバル業務で求められる高度なコミュニケーション力の養成を目的としたコースです。会議、交渉、テレカンファレンスなどの場で、多様な相手や複雑な状況にも対応できる英語とスキルを磨きます。経営?経済?金融など、幅広い話題についても高いレベルで議論ができるコミュニケーション力を身に付けます。<主な項目>多人数、複雑な状況での会議や交渉への対応/割り込み?聞き返しなどのテレカンファレンススキル など
カスタマイズの研修プログラムでビジネス英語力を着実にレベルアップ
TOEIC?のスコア別にビジネス英語力のレベルと課題、レベルアップのコツ、レベル別の最適なプログラム例をご紹介しました。個人の自己学習ではどうしても一方通行の学習になりがちで、実際のビジネスで使える英語力までレベルアップするには、極めて長い時間がかかってしまいます。
神田外語キャリアカレッジでは本記事で紹介したプログラムをベースに「異文化理解」研修を盛り込むといったカスタマイズも可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
参考: