「英語はそれなりにできる社員でも、英文ビジネスeメールが書けるようにならない」。日本語のビジネスeメールでもいろいろ気を使うものですが、それが外国語となると気後れしてしまうのも当然と言えるでしょう。しかしポイントを押さえて学習すれば、スムーズに書けるようになります。今回は、英文ビジネスeメールがどんな機会に必要になるかをお伝えしたあと、英文ビジネスeメールを書く際のポイントや効果の上がる学習方法などを紹介します。
英文ビジネスeメールが必要になる機会
英文ビジネスeメールのやりとりは、どんなシーンで必要になるでしょうか?企業や部署によってさまざまですが、一般的なものをいくつか挙げてみます。
外国籍社員とのやりとり
国内や海外拠点の外国籍社員や、ナショナルスタッフとのやりとりで英文ビジネスeメールの必要性が生じます。流ちょうに日本語を話す外国籍社員もいるかもしれませんが、「話すのは得意でも読むのは苦手」という場合や英語を母国語としないノンネイティブが多くなっています。また、メールのCCやBCCに外国籍社員が含まれる場合も、英文の方が広く理解されやすいでしょう。社内での英文ビジネスeメールの内容としては以下のようなものが考えられます。
- ミーティングや出張などの日時?場所の連絡
- 通達や情報共有
- 同僚との意見交換
- 上司への報告
取引先や顧客とのやりとり
取引先や顧客との間で英文ビジネスeメールのやりとりが必要になる場合もあります。日本語でもそうですが、社内向けに比べて、プロフェッショナルとしてpoliteな表現が求められます。例えば以下のようなやりとりが考えられますので、基本的な表現をしっかり学んでおきたいものです。
- 商談、打ち合わせの日時、場所の連絡
- 商品、サービスのオファーや問い合わせへの回答
- 商品の出荷のお知らせ
- 商品、サービスなどに関する苦情
- 取引に関する交渉
英語のビジネスeメールを書く際のポイント
社内、社外を問わず、英文ビジネスeメールを書く際には、基本的な流れや注意すべき点を押さえ、誤解のないコミュニケーションが成り立つように努めなければなりません。ここで、それぞれのポイントとなる点についてご説明します。
英文ビジネスeメールの基本的な流れ
多くの英文ビジネスeメールには、以下のような基本的な流れとポイントがあります。
- 件名:メールの目的と用件がすぐに分かるようにすること
- 宛名:相手との関係を見極める
- 書き出し:簡潔に。 具体的かつ短く1~2行で。
- 主文:結論が先。用件は簡潔に分かりやすく伝える。ポイントが伝わる工夫を。
- メールを締める文→結びのひと言:ひと言添えておきたいことを具体的に。
- 結びのあいさつ:基本はBest Regards, で締めくくる
この流れを基本としつつ、伝えたい内容によって適宜構成をアレンジするとよいでしょう。
英文ビジネスeメールの注意点
次に、英文ビジネスeメールを書く際に心に留めておきたい注意点を見ていきます。
- 要点が伝わるようにする
長すぎてポイントが伝わらないメールはNGです。英文ビジネスeメールに限らず、日本語でのビジネスeメールにも共通する注意点ですが、母国語でない言葉を使う際には、不安になってつい説明が長くなりがちです。何を書くのかの目的を明確に3つのCを意識して書くことがポイントです。
- Clear: 明瞭?わかりやすさ
効果的なメッセージが大原則。何が言いたいかをわかりやすい英語(plain English)で - Concise: 簡潔?シンプルな
回りくどい言い方や、難しい単語は逆効果。 - Constructive:前向きな?ポジティブな
否定的な言い方を避け、できるかぎり肯定的に表現する
- 「相手との関係性」や「相手のトーン」を意識する
英文ビジネスeメールを書く際には、社内向けか社外向けかはもちろんのこと、関係性が深いか浅いか、出身国はどこかなど、相手のトーンに合わせることも大切です。
会話調のメールの方が伝わりやすい場合もありますが、相手によってはフランクすぎると失礼になる場合があり、注意が必要です。ASAP(as soon as possible:できるだけ早く)やFYI(for your information:ご参考までに)といった略語も、使いすぎると伝わりにくい場合があります。その辺りにも十分配慮して英文を作成するようにしましょう。 - 無理にネイティブらしい表現を使おうとしない
英文を書き慣れてくると、ついネイティブのような表現を使ってみたくなるものです。しかし、CCやBCCなどで、日本人社員やその他の非ネイティブの外国籍社員がそのメールを読む可能性がありますし、メールの受信者が同僚や上司にそのメールを見せて相談事をすることもあります。そのため、誰にでも分かりやすい表現を用いるのが親切です。 - 基本的なミスがないかを確認
英文ビジネスeメールを書き終えたら、送信する前に、スペル間違いや脱字などの基本的なミスがないかをスペルチェック機能などで確認しましょう。基本的なミスがあると、信頼性が損なわれる原因になりかねません。日本語のビジネスeメールでも注意すべき点ですが、母国語でないためよりミスが生じやすいことを意識し、一層気を付ける必要があります。 - 日時の連絡に注意
外国在住の社員や顧客に日時の連絡をする際には、時差を考慮することが大切です。日本時間なのか現地時間なのかを明記するようにします。夏時間と冬時間がある国もあるので、その点にも注意しましょう。
英文ビジネスeメールを上達させる学習方法
英文ビジネスeメールを書く際のポイントについて説明してきましたが、次に効果の上がる学習方法についてご紹介します。
まずは基本を押さえる
まずは、先述の「英文ビジネスeメールの基本的な流れ」で紹介した件名の書き方や、英文ビジネスeメールの基本フォーマット、オープニング?クロージング頻出表現などを学び、繰り返し練習します。
基本を押さえられると自信がついてくるため、次のステップに進みやすくなりますが、基本が押さえられていないと、ポイントの伝わらない冗長な英文をいつまでも書き続けてしまう可能性があります。最初に基本をしっかりとマスターすることが大切です。
ワンステップ上の表現にも挑戦
基本を理解できたら、次に、シーン別によく使われる表現やTPOに応じた表現、伝えにくい苦情のメールなど、ワンステップ上の表現にチャレンジします。相手によってどのくらいのフォーマルさが必要か、業界や業種によってどのように表現を使い分けるべきかなど、より細かな差異も意識していきます。
英文ビジネスeメールを書き慣れてきたら、さらにレベルアップを図る
細かな書き分けもできるようになってきたら、日本人が間違いやすい表現や、論理的な文章を作成するコツなど、さらに英文の精度を上げるような学習内容を取り入れるとよいでしょう。日本人が間違いやすい表現についてひと通り学んでおくと、お互いの誤解によるミスやリスクを減らせる可能性があります。
親しい外国籍社員などにメールの感想を尋ねる
親しい外国籍社員に自分のメールについて率直に感想を述べてもらうことも、よい学習方法のひとつです。ネイティブの外国籍社員と非ネイティブの外国籍社員がいたら、両方に感想を聞いてみると尚よいでしょう。自分の英文がネイティブや非ネイティブの目にどのように映るかを客観的に知ることができ、弱点の克服にもつながります。
実践を通じて英語のビジネスライティング力をアップさせる
英文ビジネスeメールが上達するには、ある程度の時間を要します。実践を繰り返すことでビジネスライティング力が向上するという点を社員に伝え、モチベーションが下がらないようサポートしていきましょう。必要に応じてさらなる研修と添削指導を行うなどフォローアップ体制を充実させると、一層効果が期待できます。
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参考:
- 『英文ビジネスeメールの教科書 書き方の基本から応用表現まで』(NHK出版 柴田真一共著)
- ネーティブが褒めるビジネス英語 上達のカギはメール|日経電子版
- 英文ビジネスメールのコツとすぐに使えるテンプレート集|リクナビNEXTジャーナル