グローバリゼーションの波が訪れ、企業を取り巻く環境が複雑化している今、英語によるコミュニケーションが必須とされるビジネスシーンが多くなりました。そのためさまざまな企業が英語研修に力を入れています。特に、新入社員に対して英語研修を導入する企業の割合は高く、そのフレッシュな意欲に期待が寄せられているようです。今回は、新入社員の英語研修が必要な理由や、効果的な研修内容などについて見ていきます。
新入社員の英語研修はなぜ必要?
入社直後の新入社員は、配属先が決定していない場合が少なくありません。仮に決まっていても、具体的な業務内容は未定ということもあるでしょう。それでも、社会人としてのマナーや電話応対など、どの部署でも不可欠な知識の習得が必要であることは、広く理解されています。
一方英語研修については、取り入れる企業が増えているとはいえ、必要性に疑問を感じる企業、あるいは研修担当者もいるようです。しかし、配属が決まっていない段階でも、英語研修を行うことには大きな意味があります。
入社直後の配属先で英語が必要でなくても、その後の異動や職務の変更などで将来的に必要になる可能性は十分にあります。また、国が外国人労働者の受け入れを拡大しており、現時点では英語でのコミュニケーションの場が少なくても将来どうなるかは分かりません。また業種や職種にもよりますが、外国人の顧客とのやりとりが新たに発生したり増えたりするケースもあるでしょう。
あらかじめ英語研修を受けておけば、急に英語でのコミュニケーションが必要となった場合でも、落ち着いて対応でき、業務をスムーズに進められる可能性が高くなります。
新入社員に英語研修を行うメリットと注意点
「英語研修は中堅やベテラン社員に行った方が、効率的では?」と感じる企業もあるかもしれません。確かにそれも一理ありますが、新入社員に対して英語研修を行うことには、次のようなメリットがあります。
新入社員への英語研修のメリット
- 知識の吸収が早い
企業に入社したばかりの新入社員は、「早くいろいろなスキルを身に付けたい」「将来大きなプロジェクトに関わりたい」など、意欲にあふれているものです。さらに、「日々の仕事のことで頭がいっぱい」という状況にはまだなく、吸収力が高いのも特徴です。そうしたフレッシュな状態で研修を受けると、知識も身に付けやすいようです。 - 一斉に同じ講座を受講してもらいやすい
まだ所属部署や具体的な業務が決まっていない入社直後の新入社員は集まりやすく、一斉に同じ講座を受講してもらうことが可能です。同期と一緒に研修を受講することでお互いによい刺激になり、モチベーションがアップするという効果も期待できます。
一方で、次のような注意点もあります。
新入社員への英語研修の注意点
- どのような内容を教えるのがよいか決めにくい場合がある
これまで述べてきたような理由から、配属先が決まっていなくても英語研修の効果は期待できます。しかし、だからこそ、どのような内容を教えるべきか判断しにくい場合があります。 - 新入社員のレベルを把握したうえで調整が必要
まずは入社した社員の英語力の把握から始めなければいけません。バラつきがある場合、どのレベルに合わせた研修を行うか、クラスを分けるべきかなどを検討し、調整する必要があります。
以上のような注意点も含めて、研修のプログラムについて相談できるような英語研修会社を利用するのも、ひとつの選択肢です。
新入社員の英語研修とほかの社員への英語研修の違い
教える内容やレベルをうまく調整できれば、新入社員への英語研修は効果が期待できます。それでは、新入社員への研修は中堅やベテラン社員に対して行う研修とはどのような点が異なるのでしょうか?
内容の違い
新入社員の英語研修の場合は、具体的な業務がまだ始まっていないケースも多いため、基礎力を身に付けるレッスンが基本となります。すでに高い英語力を持つ新入社員に対しても、学生英語からの転換を図り、まずはビジネスにおける慣習も含め、会話の進め方やビジネスメールライティングのマナーといった、ビジネス英語の基礎を学んでもらう必要があるでしょう。その後、必要に応じてレベル別のレッスンを設けることになります。
一方、中堅社員やベテラン社員に対して行う英語研修の場合は、すでに業務に就いているため、ミーティングややプレゼンテーションなど、より実践的なものになるのが普通です。
目的の違い
新入社員の英語研修の場合は、これからビジネスパーソンとして英語力をアップさせるためのマインドセットを持ってもらうこと、英語を使うことへの抵抗をなくしてもらうことが大きな目的です。
一方、中堅やベテラン社員に対して行う英語研修では、そうしたマインドセットはすでにできていることを前提としており、英語力のレベルをよりアップさせることがメインの目的となります。英語をすでに仕事で使用していて、自分の弱点を発見している社員であれば、その弱点を克服することも大きな目的となります。
新入社員に適した英語研修とは?
それでは、新入社員に適した英語研修とはどのようなものなのでしょうか? 期間や内容について見ていきましょう。
研修期間
一般的には、集中して1週間くらい設けるのがよいとされています。入社直後であれば配属前で業務から切り離されているため、そのくらいの期間集中して実施することも可能でしょう。ただし、1週間の実施が難しければ、5日間でも問題ありません。ビジネス英語の基礎をある程度学ぶには35~40時間必要といわれていますが、1日7時間のレッスンを5日間行えば35時間確保できることになります。
十分な期間を確保するのが難しく、英語以外の一連の研修と組み合わせた1日単位のセミナーで、英語への動機付けや学び方を教える企業もあります。逆に、総合商社やホテルなど、英語の使用がすぐに想定されている企業では、配属前にきっちり基礎固めをさせるため、ほかより多めの期間を確保するということもあるようです。それぞれの事情に応じて研修期間を調整するとよいでしょう。
研修内容
まずは、電話の応対、会社?自己紹介、基本的なメールのやりとりなど、どの社員にも必要になる可能性が高い基本的なスキルを身に付けてもらいます。研修期間や研修目的、新入社員の英語力のレベルなどによっては、プレゼンテーションの基礎やミーティングでの意見の発表方法など、ワンステップ上まで行うのもよいでしょう。
研修を行う際は、ロールプレイングなどを取り入れて実際に英語を使用するイメージが湧くようにすると、英語を使うことへのハードルを下げやすくなります。異文化理解を深めるレッスンも取り入れ、グローバルな感覚を身に付けてもらえるものにしましょう。
新入社員の英語研修で大切なこと
新入社員の英語研修では、ビジネスで使う英単語を多く覚えるのが本来の目的ではなく、「コミュニケーション力を磨く」のが重要だと理解してもらうことが大切です。また、研修が終わったあとも継続的に学習する姿勢を持ってもらわなければなりません。会社で用意している英語学習プログラムを紹介するなどして、英語習得への意欲を維持してもらうようフォローすることも大切です。
それぞれの企業の目的に合った英語研修で効果アップを目指す
新入社員研修では、実際にビジネスの現場で英語を使うイメージを持ってもらえるよう、さまざまな策が求められます。また、研修後も持続して勉強する姿勢こそが大切です。研修の目的をいま一度見直して効果の高い研修を目指すとともに、アフターフォローの体制も整えましょう。
神田外語キャリアカレッジでは、実際に想定される場面を念頭においた新入社員研修を提供しています。お気軽にご相談ください。
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