グローバル化が加速するビジネス環境で、実際に使える英語力の習得は、企業の研修のなかでも重点的に考えるべきテーマです。本記事では、企業が英語研修をする意義やさまざまな実施形態の特徴、研修を成功させるポイントなどをご紹介します。
企業が英語研修をする意義
今の時代に企業が英語研修をすることには、次のような意義があります。
ビジネスのグローバル化への対応
ビジネスのグローバル化が加速するに伴って、企業では業種や職種を問わず、グローバル化への対応が急務になっています。
企業のグローバル化を推進させるためには、社員の英語力向上は欠かせません。また、英語以外の言葉も含めて母国語や文化が異なるメンバーと業務を円滑に進めるためには、わかりやすい英語で自らの意思や考えを伝えるスキルが求められます。
高い業務遂行能力を持っているにもかかわらず、英語力が不足しているためグローバルシーンで活躍ができていない人材が、自社にいるかもしれません。ビジネスのグローバル化を見据えたプログラムで実施する英語研修は、そういった人材の英語力を底上げする有効な手段になります。
自己学習による限界への解決策
学習内容や進捗管理を社員に委ねる自己学習では、基本的な語彙(ごい)暗記や文法理解程度まででとどまりやすく、実際の現場で使えるようなビジネス英語を身に付けるのは困難です。また、自らの英語レベルを客観的に把握することが難しかったり、効率よく必要な英語スキルが身に付く学習法が分からなかったりするため、学習へのモチベーションが下がってしまう懸念もあります。この懸念を払拭(ふっしょく)するうえでも、企業による英語研修は有効です。
グローバルマインドセットの育成
企業による英語研修を通して、グローバル社会で活躍するうえで必要な「マインド」を育成させることも期待できます。ネイティブ講師とコミュニケーションを積み重ねるにつれ、異文化への理解も自然に進みます。
企業における英語研修の主な実施形態
企業研修で英語を学習する主な方法は以下のとおりです。
テキスト学習
指定のテキストを用いた学習によって英語力を身に付ける方法です。学習対象者が少人数でも始めやすく、導入コストが低いことがメリットです。業種や職種に特化しない基礎的な英語スキルを効率的に習得する方法としては有効です。
ある程度の「読む」「書く」能力が身に付くことは期待できますが、ネイティブとの対面コミュニケーションがないため、「聴く」「話す」能力の向上にはつながりにくく、実践的な英語力は身に付きにくいでしょう。基本的に本人に進行が委ねられるため、企業側で学習進捗や個々の英語レベルの変化を把握しにくい欠点もあります。
eラーニング
インターネットを介して、動画などによるレッスンを受講する方法です。時間はもちろん、環境さえ整えば勤務地、出張先、自宅など場所を問わず受講できます。少人数から利用しやすい、比較的低コストで導入できる、企業側で学習進捗を把握しやすいなどのメリットがあります。
基礎的な英語スキルを習得するのには有効ですが、テキスト学習と同様にネイティブとの双方向学習は基本的にできないタイプのものが多いため、ディスカッションやプレゼンテーションなど、実践的なスキルの習得は難しくなります。
社内研修
英語研修会社の講師との対面式研修で、自社オフィスの会議室や研修施設、その他企業が指定する会場などで実施します。自社オフィス内に講師を派遣してもらえるため、早朝やランチタイム、就業後など、実施時間の融通が利きやすいメリットがあります。移動時間が発生しないため、日常の業務で多忙な社員でも、業務時間内にうまく組み込むことも可能です。
階層別教育の一環として同じ年次や役職の社員を集めたグループ研修を行ったり、接客スキル向上や海外赴任前準備などの目的別受講対象者を抽出した少人数クラスでの研修を行ったりと、企業の希望に応じて内容や規模を柔軟にカスタマイズできるのも大きな利点です。
実際の職場で起こり得る状況を意識したプログラムを組めば、実践に結び付くトレーニングが実施できます。電話応対やミーティング、ネゴシエーションなど具体的なシーンを想定した実務で使える英語を、ネイティブ講師から直接学ぶことができる理想的な学習の方法と言えます。
通学
英語研修会社が運営する教室に通学して受講する方法です。企業側で研修会場や会議室を手配する必要はなく、開講していれば、夜間や土日祝日も含めて、社員が都合に合わせてスケジュールを組むことができます。
ただし、勤務地あるいは自宅から教室までの通学ルートや所要時間を考慮する必要があります。繁忙期などでも社員が無理せず通学できる場所に教室があるかということも、確認しておきましょう。
海外体験プログラム
海外の語学学校に通って、英語力のみならず、グローバルマインドや異文化への理解を高める方法です。日本語が通じない環境に身を置くので、英語力と異文化を集中的に体得できます。同じ環境で学ぶ人たちから刺激を受けられるため、英語学習に対するモチベーションを維持?向上しやすいでしょう。
一方でほかと比べて導入コストが高いため、選抜基準を明確に定め、受講対象者をより慎重に絞り込まなければいけません。また、社員が職場から離れる期間が長期にわたる場合もあるため、期間中の業務体制や役割分担をあらかじめ調整する必要もあります。
英語研修の失敗ケースとその原因
「企業研修で期待するような英語学習の効果が得られていない」と感じる主なケースを列挙します。
業務内容や役割に必要な英語が身についていない
企業が英語研修にかけられるコストや期間に制約があったり、重点的に強化すべき英語スキルの掘り下げができていなかったりで、社員の業務内容や役割に合ったプログラムになっていない場合があります。研修内容と、現場の課題との間にずれが生じていると、社員は企業研修を受講しなければならない理由を見出せなくなり、モチベーション低下にもつながるでしょう。そうなると、期待する研修効果を得られない可能性が高まります。
そのようなことのないよう、かけられるコストや期間の範囲で最適なプログラムとなるように、十分に検討しなければいけません。
研修で身に付けた英語を職場で活かせない
研修の場では英語スキルが身に付いたと思っていても、学んだ内容を実際に職場で活用できなければ、成功とは言えません。一般的なビジネスシーン事例のみを用いた研修では、業界や職種特有の英語表現まで身に付けることは不可能です。
研修を企画する際には、あらかじめ受講対象者の業務や役割に求める英語スキルを的確に洗い出すことが重要になります。そのうえで、必要な英語スキルを習得するために適切なプログラムや教材、講師などを選定することが大切です。
職場での異文化コミュニケーションが円滑に進まない
英語を母国語とするメンバーだけでなく、英語を母国語としないメンバーとも協力して仕事を進めるには、相手の意図を理解したうえで、分かりやすい英語で自分の意思を伝える力が必要です。そのため、研修を企画する際には、異文化への理解を深めたり共感力を醸成したりする機会もつくることが重要になります。
単に「聴く」「読む」「書く」「話す」の英語のスキルを学んだだけでは、いざ現場に入っても、相手の意図を十分に理解できなかったり自分の意図を的確に伝えられなかったりと、異文化コミュニケーションがうまくいかない可能性があります。異文化理解まで踏み込んだ研修でなかったことが、一因と考えられます。
自己学習を継続できない
実際に職場でビジネス英語を活用できるようになるには、研修で終わらせず、社員が自己学習を続けることが大切です。
特に基礎?初級レベルの社員の場合、自己学習の進め方が分からないため、序盤で挫折してしまうケースがあります。それを回避するには、研修時に効果的な自己学習方法を紹介したり学習計画を作成したりすることが有効です。
研修終了から時がたつにつれ、モチベーションを維持?向上させることは難しくなります。社員の英語レベルや学習進捗を点検?改善するために、研修自体に定期的なフォローアップを組み込んでしまうのも一案です。
英語研修を成功させるポイント
先述の失敗ケースを回避して英語研修を成功させるには、次のようなことがポイントになります。
目的を明確にする
企業研修を計画するとき、まずは実施する目的を明確にする必要があります。あわせて、受講対象者の絞り込みや習得すべきスキルの洗い出しも進めます。
現状と課題を的確に把握する
社員に求める英語レベルと現時点とのギャップや、英語スキルの不足によって職場で起きている課題を的確に把握できれば、より効果の高い研修プログラムを策定できます。現状(今後)の業務内容、英語活用シーンや達成してほしいレベル、対応できるようになってほしいビジネスシーンなども整理しておきましょう。
実績豊富な英語研修会社に相談する
英語研修会社に相談することも成功の近道です。多様な業種で実績を持つ英語研修会社であれば、豊富な知見に基づく具体的なアドバイスを得られるはずです。自社のニーズに応じた研修の提案や、フォローまでの総合的なサポートを依頼してもよいでしょう。
自社特有のニーズを満たす英語研修の導入で、グローバル化を加速させよう
「実際のビジネスシーンで使える英語力」が身に付く研修を実施するには、その目的や対象者、求めるレベルを明確に整理することが大切です。それを踏まえて、効率的で学習効果が高い実施方法を選択することが求められます。
なお、必要な英語力を効果的に習得できる研修にするには、先述のとおり導入実績が豊富な英語研修会社のサポートを受けることも有効です。10,000件を超える企業向け英語研修の導入実績を持つ神田外語カレッジでは、業界や目的、対象者などの要件に応じて、柔軟にカスタマイズした英語研修を実施しています。まずは、導入事例をご参照ください。
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