マーケティング最前線!

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超音速の「青いハリネズミ」。SEGA人気映画シリーズNo.3「ソニック × シャドウ TOKYO MISSION」超個性的なDr. Eggmanにもまた会える!

2024.12.09

舞台は「日本」。セガ(SEGA)の世界的人気ゲーム「ソニック」(超音速の「青いハリネズミ」)のハリウッド実写映画(第3弾)が2024年12月末に公開されます。第1弾、第2弾を含め、そのヒットの要因を抽出します。さらに、ソニックが持つ「スピード感」がアメリカ社会で評価される背景につても考えてみます。

映画『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』の舞台は東京/渋谷

セガ(SEGA)グループのゲーム「ソニック」シリーズのハリウッド実写映画化(第3弾)として、映画『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』が2024年12月末に公開。

この映画は、SEGA社の大人気ゲーム『ソニック?ザ?ヘッジホッグ』(Sonic The Hedgehog)を、パラマウント?ピクチャーズ/セガが実写化したもの。宇宙最速で走るパワーを授かった青いハリネズミ(Hedgehog)の「ソニック」(Sonic)が、警官のトムとバディを組み、宿敵マッドサイエンティストのドクター?エッグマン(Dr. Eggman、別名「ドクター?ロボトニック」)の恐るべき陰謀に立ち向かうべく、世界を股に繰り広げるアクション満載の冒険エンターテインメント。ソニックには「音の」「超音速の」という意味があります。

ドクター?エッグマンを演じているのが、「マスク」「エターナル?サンシャイン」などで知られる名優/コメディアンのジム?キャリー(Jim Carrey)氏。劇中ではキレキレのダンスを披露するなど、悪役を名演するキャリーが、この映画のもう一人の主役だといっていいでしょう。

映画『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』 第1弾予告編 (By パラマウント?ピクチャーズ)

「SEGA」(セガ)社のルーツは、1951年にふたりのアメリカ人が日本で設立したジュークボックス輸入会社。1954年に「サービス?ゲームス(SERVICE GAMES)」と改名。1960年に「日本娯楽物産」となって、国産初のジュークボックスを開発。その製品名が「SEGA1000」。そこから1965年に会社名が「セガ?エンタープライゼス」となりました。

映画実写版シリーズ1作目が2020年に公開された『Sonic the Hedgehog』(邦題『ソニック?ザ?ムービー』)。第2作目が2022年公開の『Sonic the Hedgehog 2』(邦題『ソニック?ザ?ムービー/ソニック VS ナックルズ』)。世界興行収入は、それぞれ374億円、445億円(当時ドル円換算)に到達し、大ヒットを重ねました。

第3作目の今作『Sonic The Hedgehog 3』(邦題『ソニック × シャドウ TOKYO MISSION』)の舞台は「日本」です。日本はセガとソニックの母国です。東京湾沿岸に浮かぶ孤島に幽閉されていた闇のダークヒーロー「シャドウ」。その「シャドウ」が長い眠りから目覚め、施設を破壊し、日本を象徴するランドマーク?シティである【東京?渋谷】に降臨。東京を、そして世界を揺るがす緊急事態が発生。

シリーズお馴染みのメンバーであるソニック、テイルス、ナックルズが派遣され、渋谷のスクランブル交差点のど真ん中でシャドウと対決。東京を舞台に、シリーズ最高のスケールと超音速のアクションが展開されます(映画『ソニック × シャドウ』公式サイト(sonic-movie.jp))。

ソニックの映画シリーズは任天堂のスーパーマリオといくつかの重要な点で差別化されており、これが特に米国での映画の大きな人気に貢献しています。

2023年4月に公開され世界興収13.5億ドル(1,755億円)を達成した『ザ?スーパーマリオブラザーズ?ムービー』(英: The Super Mario Bros. Movie)。『ミニオンズ』シリーズを手がけたイルミネーションと、任天堂がタッグを組み人気ゲーム『スーパーマリオブラザーズ』の世界をアニメ映画化。世界を支配しようとする大魔王クッパを、キノコ王国のピーチ姫は民たちと迎え撃とうとしていたとき、マリオは双子の弟?ルイージをクッパに囚われてしまう。マリオは弟を助けるためにピーチ姫、キノピオたちと共に大魔王クッパを倒す冒険の旅に出る???

「ソニック」の皮肉屋で反抗的なところが人気の要因

では、マリオと比較しながら、映画『ソニック?ザ?ヘッジホッグ』のヒットの要因を抽出しましょう。

第1が「キャラクターの個性」です。ソニックは、ハイスピードで動き、皮肉屋で、反抗的な性格として描かれ、クールでエッジの効いたキャラクターです。ソニックは、スピード感があり陽気で、エネルギッシュに自由奔放に振る舞います。それを目撃した米国の若者たちに、エネルギーに満ちた若々しさを感じ取り、「まるで自分たちの分身/友人」のようにソニックを受け止めたのでした。

デザイン面でも、ソニックの青い色、トゲのある外見、そしてスピード感あふれる性格/行動はソニック自身を際立たせました。(後ほど説明するとおり)その姿はアメリカの若い観客に訴求するよう意図的に作られ、任天堂のマスコットであるマリオとは対照的な設定となっています。

アメリカでは、ハリネズミは、伝統的なペットではないものの、かわいくてユニークな動物として見られることが多いようです。その特異な外見が多くの人にとって愛らしく、特にインターネットのミーム(Meme、ネタ画像)やSNSではハリネズミのコンテンツがよく話題になります。

また青という色は、信頼、安定性、信頼性を伝える色と見なされています。そのため、特にテクノロジーや金融セクターでは、青をロゴに取り入れています(例:IBMやMeta(旧facebook)。またこの青は、クールさや現代的なイメージ、テクノロジー志向、未来感にも結びつけられます。心理学的に、青は落ち着きや静けさと関連付けられ、空や海を思い起こさせます。

実写とCGの融合が「よりリアルで親しみやすい環境」を作り出す!

第2が、「ストーリーと舞台設定」です。映画『ソニック?ザ?ヘッジホッグ』は現実世界を舞台にしており、実写とCGを融合させています。映画のなかでは、ソニックが、「よりリアルで親しみやすい環境」の中で、人間のキャラクターと交流することで、視聴者とのつながりが強化されます。他方、マリオの冒険は、色鮮やかでファンタジックな「キノコ王国」が舞台であり、ソニックに比べると現実世界とのつながりが薄いと言えます。

名優/コメディアンのジム?キャリー氏の「ドクター?エッグマン」の存在感!

第3に注目されるのは「悪役とそれを演じるスターの存在感」です。名優/コメディアンのジム?キャリー氏が演じるドクター?エッグマンは、ソニック映画にとって大きな魅力/存在となっています。キャリー氏の演技にはコメディと奇抜さ、そしてカオス(混沌)が混ざり合っています。その結果、ドクター?エッグマンは、ソニックに負けないほど魅力的な悪役と進化しました。もちろん、マリオシリーズの悪役のクッパも魅力的な悪役ですが、ジム?キャリーという名優はそれをはるかに超越する演技を披露しており、それがソニック映画のダイナミズを生み出しています。

第4が「ノスタルジー」(郷愁)です。ソニックもマリオも、人気ゲームのキャラクターとして、長い間、多くのファンに親しまれてきました。両者の映画化は、世代を超えたそうしたファンたちの「懐かしい気持ち」に強力に訴求したのです。

実のところ、第1作「ソニック?ザ?ムービー」(2020年6月)は、当初前年19年11月に公開予定となっていました。しかし、予告編(trailer)が公開されると、即座にソニックのデザインに対して、多くのファンから批判的な意見が寄せられました。

当初のソニックは、本来、つまりゲーム版のソニックと比べて頭身が高く、目は小さい、さらに脚は妙に筋肉質に見え、手袋ではなく白い毛の手をしているなど、ファンにとっては多くの違和感があったのです。最終的に監督を務めるジェフ?ファウラー氏がデザインの変更を約束するという事態となり、現在のソニックが誕生。予算や時間的な制約があったにもかかわらず、制作サイドがファンの意見を真摯に受け止めたのです。こうした柔軟さが、ソニックシリーズの成功の要因になっていることも見逃せません。

スピード重視の米国社会の根底にはフランクリンの「Time is money.」の考え方

ここで、(キャラクターではありますが)ソニックの「スピーディーな動き」がなぜ高く評価されるのか、そもそもなぜアメリカ人は「スピード」を高く評価するのでしょうか。その歴史的/社会的/文化的な背景を考えてみたいと思います。

「時は金なり」(Time is money.)。「時間はお金と同様に貴重なものだから、決して無駄にしてはいけない」という戒めです。アメリカ独立運動の中心的な指導者のひとり、ベンジャミン?フランクリン(Benjamin Franklin、1706年-1790年)の言葉。

歴史的に見て、アメリカの初期の起業家精神と急速な産業化は、「時間を貴重な資源」とみなしました。現代においても、アメリカ人の仕事、ビジネス、個人の生産性に対する態度の礎(いしずえ)となっています。

「Time is money」というフレーズは、カルヴァン主義やピューリタン(清教徒)などのプロテスタントの労働倫理の信念に根ざしており、勤勉さ、規律、倹約、つまり「時間を生産的に使うこと」を道徳的美徳と考え、成功を神の恩恵の証(あかし)とみなします。逆に、時間を無駄にすることは、神と社会への義務を怠ることと判断されます。この効率重視の考え方は、アメリカ資本主義の中心な信念になっていきます。

くわえて、「Time Freedom」(Freedom of Time、「時間の自由」)という言葉が示すとおり、「(個人が)時間をコントロール/制覇する」ことと、個人の自由とは密接に関係しています。また、時間をコントロールすることは、日本の約26倍の広大なアメリカ国土を制覇することにもつながります。そして、こうした「自由」(freedom)という概念は、アメリカの歴史、文化、政治、経済、社会、技術を支える最も中心的な拠り所だといえます。

現代の米国ビジネスに目を向ければ、特に、金融、テクノロジー、起業、デジタルの世界のようにスピードやパフォーマンスが重視されるビジネス界では、この信念が強く残っています。さらに一般生活でも、人々は便利さやマルチタスク、時間を最大限に活用することを重視しています。単発で短い時間で効率的に働くギグエコノミー(gig economy)、食品宅配サービス、ファストフード、オンラインショッピング、電子メール、オンライン会議、ソーシャルメディアの普及がその証拠です。

もちろん、現在、ワークライフバランスやメンタルヘルスへの関心が高まり、極端なスピード重視社会の負の側面にも関心が向けられていますが、現在でも、時間が経済的な機会や成功と不可分に結びついているという考えは依然として根強いと言えます。

さて、セガは2024年10月26日、ゲーム『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』について全世界の累計売り上げが発売1日で100万本を突破したことを発表。本作は、2011年発売の『ソニック ジェネレーションズ』のリマスター版に加え、シャドウを主人公とする完全新作『シャドウ ジェネレーションズ』が収録されたゲームです。

ソニックのゲームと、その実写版映画の相乗効果で両者のさらなる人気拡大が期待されます!

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