マーケティング最前線!

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読書とマクドナルドとコカコーラが大好き!「オマハの賢人」著名投資家/億万長者ウォーレン?バフェット氏の発想法!

2024.09.09

「オマハの賢人」と称される伝説的な投資家「ウォーレン?バフェット」氏。90歳を過ぎた現在も投資会社バークシャー?ハサウェイ会長兼CEOとして活躍するバフェット氏の成功の理由と人物像は?彼の発想からビジネスパーソンは何を学べるのか!

2024年8月5日、日経平均株価が史上最大の下落

2024年8月5日、日経平均株価が史上最大の下落幅4,451円(終値は31,458円)を記録。下落幅は1987年10月20日の3,836円(米国株が暴落した「ブラックマンデー翌日」)を超え過去最大となりました。

しかしながら、翌6日、日経平均株価は、前日比で3,217円(10.2%)高い34,675円に急反発。その上げ幅は1990年10月2日の2,676円を上回り過去最大、上昇率でも歴代4位。今回の日経平均株価の「歴史的な乱高下」の理由として、アメリカ経済の下振れ懸念や日本の金融政策変更(日米の長期金利差縮小)に伴う「円高/ドル安」の急激な進行などが論じられています。

このジェットコースターのような乱高下を「ベアマーケット?ラリー」(bear-market rally)と表現する専門家もいます。「ベアマーケット」(弱気相場)の途中で発?する?時的なラリー(上昇相場)という意味です。

株式相場でよく使われる「ブル」と「ベア」。「ブル」(Bull)は「強気」のことで、雄牛(Bull)が角を下から上へ突き上げる仕草から相場が上昇していることを表します。「ベア」(Bear)は「弱気」のことで、熊が前足を振り下ろす仕草、あるいは背中を丸めている姿から相場が下落していることを表現します。

さて、日本では、2024年1月から、「新NISA制度」がスタート。資産形成のための税制優遇制度「NISA」(少額投資非課税制度、2014年開始)が見直され、株式/投資信託などからの利益に対する非課税投資枠が大幅に拡大されたのです。「NISA」(ニーサ:Nippon Individual Savings Account)という愛称はイギリスの「ISA」(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)に由来します。

金融庁によると、新NISA開始後の24年3月末時点のNISA口座数は前23年末比プラス9%の 2,323万口座、累計買付額は同プラス17%の41.6兆円とそれぞれ増加を記録。経済/投資系雑誌、さらには一般誌でもしばしば「新NISA」の特集が組まれ、最近のトレンドワードにもなっています。

そうしたなかで、今回の株価の乱高下により、新NISAを利用する若手個人投資家/ビジネスパーソンなどに動揺が広がっている、と報じられました。

「オマハの賢人」と呼ばれる米著名投資家「ウォーレン?バフェット」氏

さて、株式投資と聞けば、「オマハの賢人」(The Oracle of Omaha)と称される米著名投資家のウォーレン?バフェット(Warren Buffett)氏の名前がすぐに浮かびます。「オラクル」(oracle)とはもともと「(古代ギリシャの)神託を伝える人」という意味。「オマハの賢人」と呼ばれているのは、バフェット氏が米国ネブラスカ州オマハに居住しているからです。

ネブラスカ州は米国中西部にある州。州都はリンカーンで、最大の都市が州の東端にあるオマハ市。同州は広大な農牧地を抱え、牛肉?豚肉?トウモロコシ?大豆の生産で国内トップ。

バフェット氏は、会長兼CEOとして投資会社「バークシャー?ハサウェイ」(BERKSHIRE HATHAWAY INC.)を経営しています。1888年、前身の会社が綿紡績会社として設立されました。1965年、バフェット氏が同社を買収。以降保険業の買収などを通じ事業の多角化を図り、現在は金融、エネルギー、自動車、食品など50を超える事業を所有。「バークシャー?ハサウェイ」という少し馴染みがない名称は、1950年代に、バークシャー(Berkshire)とハサウェイ(Hathaway )という名前の2つの綿紡績会社が合併したことに由来します。

私生活/身体的な逆境を乗り越えた「不屈の精神」の持ち主、弁護士/投資家の同社副会長のチャーリー?マンガー(Charles Munger)氏は、バフェット氏にとって長年(60年)の親友/ビジネスパートナーでしたが、残念ながら、2023年11月、99歳でこの世を去りました。

そのバフェット氏は、歴史上最も成功した投資家の一人だと評されています。経営情報誌「フォーブス」の推計によると、2024年8月時点のバフェット氏の個人資産は1,358億ドル(約20兆円)。

「バフェット指数」とは?

彼の絶大な影響力からバフェット氏の名前を冠した有名な株式指標もあります。「バフェット?インディケーター」(バフェット指数、Buffett Indicator)です。ある国のGDP(国内総生産)に対する株式市場の時価総額の割合を示したものです。

株式市場の価値は頻繁に変動しやすい一方、GDPの成長はより予測しやすい特徴があります。安定しているGDPをベンチマーク(基準)にして変動の激しい株式市場を評価する指標です。バフェット氏が、2001年、経済誌「フォーチュン」のインタビューで、「この指標は、バリュエーション(株式市場の評価)がどのような時点にあるのかを示す、おそらく最良の指標である」と述べたことで世界的に注目されるようになりました。

たとえば、2024年5月末の米国のバフェット指数、つまり、「株式市場の時価総額」÷GDP=197%。この数値は過去のトレンドラインを約60%上回っており、株式市場がGDPに対して割高であることを示唆。バフェット指標を追うことで、株式市場の価値が実際の経済規模(GDP)よりもはるかに速く成長している場合は、「バブル」(過熱状態)の可能性がある、と投資家は判断できるのです。ちなみに、2024年8月9日時点のバフェット指数は186%です。

バークシャー?ハサウェイ社は持株会社で、主に、他の事業のオーナーとして機能しています。投資家は同社に資金を提供し、同社は他の企業の株式に投資する。同社が投資している会社のリストには、アップル、バンク?オブ?アメリカ、アメリカン?エクスプレス、コカコーラなど超優良企業が並んでいます。日本の三菱商事、三井物産、伊藤忠、住友商事、丸紅も入っています。

なお、バフェット氏は、バークシャー?ハサウェイの株主総会(2024年5月)で、日本の大手商社5社に投資したことに関連して、「圧倒的に説得力があった」と述べ、日本の商社の成長性を評価して投資したことを明らかにしました。

バークシャー?ハサウェイの株式を保有することは、ある意味ではインデックス?ファンド(主要な株価指数に連動するような運用を目指す投資信託)を保有することに似ています。

バークシャー?ハサウェイの株式価値、過去60年間で3,600倍!

ここで、巨大IT企業(アップル、マイクロソフト、アルファベット、NVIDIA)や新興企業が上場されているNASDAQ(ナスダック、米国電子株式市場)が公表している推計を紹介しましょう。

バフェット氏が経営権を掌握(買収)した1965年に、バークシャー?ハサウェイ社に1万ドル(現在の円換算150万円)を投資したとします。現時点でその投資額は、3.55億ドル(532億円)に増加しています。約60年間で、約3,600倍の価値の増加です。米国を代表する500銘柄の「時価総額」を指数化した「S&P500」(エスアンドピー?ファイブハンドレッド、Standard and Poor’s)に同じ60年間、同額1万ドルを投資した場合の150倍以上とされます。その60年間で、バークシャー?ハサウェイ社への投資は、年複利約20%で上昇してきたことになるのです。

米国下院議員の息子であるバフェット氏(1930年8月30日生まれ)は、11歳で初めて株を購入し、13歳で初めて税金を申告したそうです。「株式投資の申し子」といっていいでしょう。のちにバフェット氏はアイビーリーグのコロンビア大学ビジネススクール(経営大学院、ニューヨーク在)に進学し投資について本格的に学びました。

億万長者のバフェット氏は自分の財産の99%以上を寄付すると公約しています。しかも、彼は、これまでに主に「ゲイツ財団」(マイクロソフト創業者のビルゲイツ氏の財団)や自分の子供たちの財団を通じて、約600億ドル(9兆円)を寄付しています。バフェット氏が「賢人」と呼ばれる主な理由はここにあります。

2010年にはビル?ゲイツ氏とともに「ギビング?プレッジ」(Giving Pledge)を立ち上げ、他の億万長者たちにも自分の財産の少なくとも半分を慈善事業に寄付することを約束するよう求めました。

自分の時間の8割は読書に割いている!

バフェット氏は、普段、8割の時間を読書に費やしているそうです。朝は6時45分に起床。出勤前の日課は、新聞を読み、世界や市場についての情報を得ることです。

彼は次のように語っています。「読んで読んで読みまくる。1日に5、6時間は読んでいるかな。若い頃ほど速くは読めないが、毎日5紙は読む。雑誌もかなり読む。10K(米国証券取引委員会(SEC)用の年次報告書)も読む。企業の年次報告書も読むし、他のものもたくさん読む。だから、昔から読書は好きだった。例えば、伝記を読むのが好きなんだ」。

彼が読む新聞は「オマハ?ワールドヘラルド」「ウォールストリート?ジャーナル」「ニューヨーク?タイムズ」「フィナンシャル?タイムズ」「ワシントンポスト」の5紙。

彼は、「読書は、質の高い投資判断に役立ち、ゲームをチェンジする(大変革をもたらす)ための習慣だ」と信じています。バフェット氏は、「このように毎日500ページ読むことを勧める。そうすれば、『複利』(雪だるま式)のように知識が積み重なっていくんだ」と話しています。

マクドナルドとコカコーラが大好きな「質素倹約家」の億万長者!

世界的に著名な億万長者のバフェット氏は「質素倹約家」であることでも有名です。実際、彼は約65年間、オマハの中心部にある同じ質素な家に住んでいます。その自宅は、1958年に31,500ドル(現在のドルで約330,000ドル(約5,000万円))で購入した「5LDK」の物件です。

米国ビジネス誌「ビジネス?インサイダー」によると、90歳を過ぎた億万長者のバフェット氏ですが、彼の食生活はとても質素で、多くの「現代の若者」たちとそれほど変わりません。バフェット氏は、インタビューで「100ドル(1.5万円)もする食事よりも、マクドナルドのハンバーガーのほうが好きだ」と語っています。

バフェット氏は、オフィスに向かう途中、朝食を食べるためマクドナルドによく立ち寄るそうです。投資家の彼は株式市場のパフォーマンスや気分によって食事を選びます。たとえば、ソーセージパテかベーコンエッグ、チーズビスケットのどちらかをセレクトします。

「あまり気分が良くないときは、2.61ドル(約400円)のソーセージ?パティ2枚。ベーコン、卵、チーズのビスケットを選ぶと3.17ドル(約500円)なのだが、今朝は相場が下がっているから、それをパスして2.95ドル(約450円)にする」

彼は、こんなこともユーモアを込めて話しています。「保険数理表(予定死亡率)を調べたら、死亡率が最も低いのは6歳児だった。だから6歳児のように食べることにしたんだ。それが一番安全な方法なんだ」。

マクドナルドにくわえ、コカ?コーラ、デイリー?クイーン(アイスクリーム、バークシャー?ハサウェイ社所有、dairy queenのdairyは「乳製品」)が大好きのようです。彼は、(彼にとって)「贅沢な食生活」が自分の幸せと長寿の秘訣だと述べています。

バフェット流「長期的に考え、努力を『複利的』にする!」

アマゾン/アレクサ(Amazon Alexa、AI音声認識サービス)のマーケティング?ディレクターのキム?クーパー(Kim Cooper)氏が、伝説的投資家バフェット氏からビジネスパーソンが学べるマーケティングへの教訓を簡潔にまとめているので紹介しましょう。

 (1) 長期的に考え、努力を「複利的」にする!

目まぐるしく変化するデジタルの世界では、手っ取り早い勝利や即座の結果を追い求めたくなります。しかし、バフェット氏は、時間をかけて複利効果をもたらす持続可能な戦略を構築することを強調します。SNSマーケティングでいえば、一貫性を保ち、オーディエンス/顧客を育て、長期的なビジョンを念頭に置くことが求められます。

バフェット氏が言及する「複利」とは次のような意味です。それは、元金によって生じた利子を次期の元金に組み入れる方式であり、元金だけでなく利子にも次期の利子がつく。したがって、各期の利子が次第に増加していき、「雪だるま式」に利子が増えていく。

(2) 「銀の弾丸」(特効薬、silver bullet)を疑え!

バフェット氏は、魔法のような結果を約束する短期的な戦術を追い求めるのではなく、調査と分析に裏打ちされたデータ主導の戦略に集中することの重要性を説きます。「うますぎる近道」には近づかないということです。

(3) 厳しい時期にチャンスをつかむ!

不況のような厳しい経済状況下で、他社がマーケティング活動を縮小しているときに、自社のマーケティング活動を維持、あるいはさらに強化することで、より多くの人々の注目を集め、市場での地位をより強固なものにすることができると、バフェット氏は考えています。いわゆる「逆張り」戦略です。

(4)「ストライクゾーン」にこだわる!

自分の強みと市場の需要が合致する機会を探すこと。専門外のトレンドを追いかける誘惑に負けない。自分の「ストライクゾーン」に集中することで、オーディエンス(顧客)に永続的なインパクトを残すマーケティングのホームランを打つことができます。

バフェット氏の格言「最も重要な投資は自分自身への投資である」

最後にビジネスパーソン全般に役立つバフェット氏の格言を紹介します。

“The most important investment you can make is in yourself.”― Warren Buffett

「あなたができる最も重要な投資は自分自身への投資である」- ウォーレン?バフェット

彼は、こんな風にも語っています。

“Generally speaking, investing in yourself is the best thing you can do. Anything that improves your own talents; nobody can tax it or take it away from you.” ― Warren Buffett

「一般的にいうと、自分自身に投資することが、あなたができるベストのことだ。自分が持っている才能を向上させるものであればなんでもよい。あなたの才能には誰も『課税』することはできないし、奪うこともできない」- ウォーレン?バフェット

昼食時などに、マクドナルドでハンバーガーとコカコーラを注文しながら、伝説的投資家のバフェット氏の発想/格言を思い出せば、美味しい食事とともに、ビジネスに関する最高の「ひらめき」が生まれるかもしれません。もちろん「キャリア形成」への大きなヒントを得るビジネスパーソンも少なくないことでしょう。

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