マーケティング最前線!

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米国ビジネス界の評価「2023年WBCはビジネス的に大成功!」

2023.04.06

テレビ放送、観客動員数、商品売上ともに記録的な大成功!!

全体的にいえば、「WBCは、テレビ放送、観客動員数、商品売上ともに記録的な大成功を収めた」というのが、MLBやメディアを含む米国スポーツビジネス界の評価です。

2023年のWBC(ワールド?ベースボール?クラシック)は、上記のようなビジネス指標で過去最高の記録となりました。それも、北米や日本だけでなく、世界的に見ても素晴らしい結果を残しました。

米国では、野球の人気はアメフト、バスケの次!

米国のスポーツファンを対象とした最近の調査では、第1位が「アメリカンフットボール」(NFL)の70%で、2位は「バスケットボール」(NBA)の61%、3位は「野球」(MLB)の57%、第4位が「サッカー」(MLS)の49%となりました。

サッカーは、「米国4大スポーツ」の一つである「アイスホッケー」(NHL)の37%を超えるとともに、野球の牙城も脅かす存在になっています。そういう状況のなかでWBCの成功は、MLBなど米国野球ビジネス界にとっては大きな果実になったことは想像に難くありません。

さらに、開催時期の問題です。アメリカにおいて、この春の時期には、大学バスケットボール(NCAA)がスポーツメディアの見出しを飾ります。また、MLB(メジャーリーグ)のスプリングトレーニング中のオープン戦がレギュラーシーズンの到来を告げます。

WBCはMLBの優勝決定トーナメントに近い雰囲気!

決して有利な時期の開催ではなかったとはいえ、今回のWBCはMLBのポストシーズン(10月に開催される年間No.1を決めるトーナメント戦)の大会と勘違いしてしまうような熱気に包まれていた、と米国で評価されています。

今回のWBCが大成功と評価されている証拠の一つが、次のような迅速な動きです。MLBとMLBPA(MLB選手会)との間で結ばれている現在の「労働協約」(有効期間は2026年12月1日)の期間中の「2026年」に、次のWBCが開催されることがすでに発表されているのです。巨大なビジネスチャンスをかぎつけたとき、即座に柔軟かつ大胆な意思決定をするのが米国流ビジネスの特徴です。

大谷翔平選手、ダルビッシュ有選手、マイク?トラウト選手も「次のWBCにもぜひ参加したい」とすでに意思表明しています。

過去最高の観客動員数!

では、「Forbes」「CNN」などの記事をもとに、今回のWBCに関するビジネス指標を確認しておきましょう。

大会の観客動員数は130万人で、2006年に始まったWBC以来最高の観客動員数を記録。最高水準だった前回2017年よりも20%増加しました(今回のW B Cは、6年ぶりの開催です)。

MLBのマイアミ?マーリンズの本拠地であるローンデポ?パーク(LoanDepot Park)で行われた決勝戦では、200人以上の報道関係者が集まり、36,000席のチケットが完売となりました。

米国内外のテレビ番組?ストリーミングで記録的な大ヒット

大会全体を通して、テレビやストリーミング(動画配信)で、WBCの中継は、アメリカだけでなく世界中で大ヒットを記録しました。WBC決勝戦は、日本ではウィークデーの3月22日(水曜日)の午前8時に行われたにもかかわらず、日本の世帯の42.4%が視聴しました。

準々決勝の日本対イタリア戦は、日本で視聴率48.7%を記録しました。これはWBC史上の最高視聴率です。MLB(メジャーリーグ)によると、下記の通り大会史上最も視聴された4試合のうち、3試合が今回のWBCの試合でした。

<最高視聴率ランキング>
第1位. 48.7%:日本 対 イタリア(2023年準々決勝)
第2位 44.4%: 日本 対 韓国(2023年1次ラウンド)
第3位 43.4%: 日本 対 キューバ(2006年ワールドベースボールクラシック決勝戦)
第4位  42.5%:日本 対 メキシコ(2023年準決勝)

米国では、WBC史上、今回の決勝戦が最も視聴された!

米国では、WBCにおいて、今回の決勝戦が史上最も視聴された試合となりました。この試合は、有料テレビ「FS1」(Fox Sports 1)、ヒスパニック系米国人をターゲットにする有料テレビ「FOX Deportes」、スポーツ専門チャンネル「FOX Sports」のストリーミングを合わせて520万人が視聴し、2017年の前回最高視聴率に対して69%増加しました。

エンゼルスのチームメイトである大谷翔平選手がマイク?トラウト選手(Team USA)を三振に仕留めて勝利を収めた決勝戦の視聴者数は650.6万人とピークに達しました。

FS1とFOX Deportesで放送された準決勝(日本対メキシコ、米国対キューバ)は、米国でのWBCで最も視聴された準決勝となり、2試合の平均視聴者数は240.3万人となり、2017年の準決勝と比較して96%増加しました。

ビジネスでの成功要因は「劇的なプレー」と「配信チャネル増」!

主要なビジネスチャネルにおける売上?視聴率などの増加の要因はどこにあったのでしょうか。

第1の要因が、「劇的でエキサイティングなプレー」です。たとえば、日本が準決勝でチームメキシコにサヨナラゲーム(walk-off、ウォーク?オフ)で勝利した試合。さらには、決勝では、MLBを代表する、大谷選手とトラウト選手の間で繰り広げられた「ホームランか、試合終了のアウトか」を賭けた一世一代といっても過言でない「大勝負」がありました。

第2は、試合を放映する配信チャンネルの増加です。今回のWBCでは、163の国と地域で視聴が可能となり、63のメディアパートナーが「13の言語」で大会を放映しました。

つまり、「劇的でエキサイティングな試合」の視聴を可能した配信チャネルの増加が視聴率の増加につながり、それが、売上増につながったのです。

WBCは次のフェーズに!そして「大谷vs.トラウト」の第2ラウンドへ!

米国チームのキャプテン、マイク?トラウト選手は、米国チームの敗北と最終回の三振にもかかわらず、「確かに、大谷選手はWBCの第1ラウンドを制したにすぎない」と語りました。大谷と自分との戦いについて「そりゃあ、楽しいよ。野球ファンなら誰もが見たかったと思う」というコメントも残しています。

MLB選手のシーズン前のトレーニング中の参加と怪我の問題、アメリカ人MLBプレイヤーの他国代表としての参加の可否など、今回のWBC開催前にはいろいろな課題が持ち上がったのは事実です。しかし、さまざまな指標が示すビジネス的な成功により、WBCはスポーツイベントビジネスとして次のフェーズ(段階)にステップアップしたのは間違いないでしょう。

トラウト選手の言葉を借りれば、WBCの世界的スポーツイベントとしての「第1ラウンド」は終了しました。3年後の2026年のWBC「第2ラウンド」がどのように進化するのか楽しみです。

そして、大谷選手とトラウト選手の「真剣勝負」の第2ラウンドの「ゆくえ」に、すでに世界の多くの人々の注目が集まっています。


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